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不育症｜正しい知識を身につける

適切な選択をしていただくために

赤ちゃんを授かったにもかかわらず失ってしまうのはとても悲しくてつらいものです。そしてそれを繰り返す「不育症」について、まだまだ知られていないのが現状です。

不育症の検査方針や治療方針はある程度整理されましたが、一方でそのことを相談できずに悩んでいる方が多いという問題も指摘されています。

不育症は正しい検査をして、正しい治療を行なうことができれば、多くの方が元気な赤ちゃんを持つことができるとされています。しかし正しい情報があまり知られていないため、妊娠を諦めてしまっているカップルも少なくないというのが現状です。

「不育症」で悩んでいる方が元気な赤ちゃんを持つために正しい知識を得るためのお手伝いができればと思っています。

◉ 不育症とは

妊娠しても流産や死産を繰り返し、赤ちゃんが育たない状態を「不育症」といいます。

流産が２回以上連続するものを「反復流産」

流産が３回以上連続するものを「習慣流産」

といいます。

不育症には回数による明確な定義はありませんが、２回以上の流産や死産が続いた場合、不育症と判断して治療するケースが多いようです。

自然流産（流産から人工流産を除いたもの）は１回の妊娠で約１５％と一定の割合で見られるため、流産自体が病的ではありません。

しかし、この割合から計算した連続して流産を経験する女性の割合は理論値を上回るため、そこにはなんらかの病因が関与しているものと考えられています。また既往流産回数や、加齢により流産率は上昇します。

＊不妊症と不育症は希望があるのに生児が得られないという点では共通していますが、着床の有無が定義上の違いになります。着床はhCG陽性反応が出た時点で臨床上は妊娠と判断されますが、着床後の極早期（妊娠４週未満）は流産しても着床の有無は判断できないため不妊症として扱われることになります。不育症は妊娠の維持や胚の発生に異常が見られることが原因ですが、不妊症と共通する要因が原因となるケースもありますので、合わせて考える必要があります。

◉ 東洋医学的治療

不育症（習慣性流産）の西洋医学での治療方針は、次回妊娠した際に妊娠を維持できるように、妊娠する前から予防をするというものです。検査の多くは血液検査ですが、予防医療という扱いのため保険が使えないケースも多くあります。

東洋医学的治療を始める前に、西洋医学的な問題点がないこと、また西洋医学的な問題が合った場合その治療を行っていることが、東洋医学的な治療を行うための条件となります。

東洋医学的では不育症（習慣性流産）を「滑胎」といい、原因は大きく分けて

① 腎気虧損

② 気血両虚

が原因と考えています。

東洋医学でいう「腎」は西洋医学で言う「腎臓」の働きも含んだ生命力の根源で、生殖をつかさどるところでもあります。「腎虚」は生きていくためのエネルギーが不足し、生殖機能が低下していること意味します。また「気」はエネルギー、「血」は栄養を意味し、「気血両虚」はどちらも不足していることを意味します。

① 腎気虧損について
生まれ持った体質、腎の気が充足していない状態、あるいは性生活の不摂生により、腎気が不足することによって腎の機能が低下した状態です。
耳鳴りやめまい、足腰の痛み、気持ちの落ち込み、夜間頻尿、目の周りが黒くなる、顏色が暗く、舌の色は淡く舌苔は白、脈は沈んで弱い、などの症状も見られます。

② 気血両虚について
虚弱体質、食生活やからだの使いすぎで消化器系の機能が低下した、大病や長期の病気療養により、からだの気や血が不足した状態です。
目のかすみ、元気がない、動悸や息切れ、顏色が青白い、舌の色は淡く舌苔は薄い、脈は細く弱い、などの症状も見られます。

上記以外にもそれぞれにより原因は様々です。また複合的なケースもあり、実際の治療法はひとりひとり異なります。

不育症の場合、原因がよくわからず西洋医学で治療が難しいケースもあります。

西洋医学では見えなかった問題点も、東洋医学の視点で体の状態を把握することで見えてくる場合があります。

不育症の治療で悩まれている方のお話をお聞きすると、不育症以外に様々なからだのトラブルを抱えているにもかかわらず、それらの症状には対処していないケースがあります。

どんな病気や症状でも、一つのからだの中で起こっている以上、ある部分の不調が他の部分へ影響するのは当然です。

東洋医学はからだのトータルバランスを整えることで一部で起こっている不調を含めて治療し、トラブルの起こりにくい体づくりをおこなっていきます。