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不妊症について

適切な選択をしていただくために

高度生殖医療の進歩はめざましいものがありますが、実際の成功にたどり着くためには医療者と不妊に悩むカップルが不妊治療についての知識を共有し、共通の理解の上で治療法の選択をしていくことが必要です。

近年は特に不妊治療に対する関心が高くなっています。不妊治療は医学的な側面ばかりに目が向きがちですが、社会的、心理的、経済的な問題との関わり合いも深く、それらの問題は時に複雑に絡み合い、解決までに時間と労力を要することもしばしばあります。

不妊に関する問題の解決には、全体像を把握することが重要です。全体像が把握できれば、一つひとつの問題も対処しやすくなります。

​まずは正しい知識を身につけることからはじめましょう。

◉不妊症とは

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が、夫婦生活を続けていても、一定期間妊娠に恵まれない場合をいいます。

「一定期間」は、従来の定義では「2年というのが一般的」でしたが、「1年というのが一般的」と変更されました。

 

日本において、女性の晩婚化やキャリア形成指向、その他の理由により女性の妊娠する年齢が上昇する現状を考え、女性がより早期に適切な不妊治療を受けることにつなげたいとの考えから、不妊(症)の定義の変更が必要と判断されたようです。

カップルの約1割は不妊症と言われています。女性の妊孕性(にんようせい:女性の場合は妊娠のしやすさ)は、30歳をこえると少しずつ低下し、40代ではさらに低下し、流産の確率も上がります。この理由としては卵巣内の卵の質が関係していると言われています。

一方男性では年齢に伴う妊孕性の低下(男性の場合は子供を作る能力のこと)は女性ほどは大きくありません。

◉妊娠を希望する場合は

不妊かもしれないと思ったら、まず基礎体温を記録しましょう。卵巣機能の判断の目安にもなりますし、タイミングを図るためにも重要です。

 

通常、月経開始後の約2週間は体温が低く(低温期)、その後2週間は体温が高くなります(高温期)。基礎体温は、排卵予測や黄体ホルモンの評価に昔から用いられている方法ですが、人の体温は不安定で正確性にややかけるので、ひとまず「2相性」になっていれば大丈夫です。

低温期の最終日には、頸管粘液が増加します(透明の糸をひくようなおりものに変化します)。この時期にタイミングを図ると、精子がたどり着きやすくなるので妊娠の確率が上がります。男性はタイミングを図る場合は、3~4日射精を控えると精液の状態がよくなるので妊娠の可能性が高まります。月経周期が安定している場合は、基礎体温の記録から高い確率で、排卵日を予測することが可能ですので、忘れずに記録をするようにしましょう。

タイミングを図っても妊娠しない場合、不妊治療を考慮していくことになります。まずは専門医に相談することになると思いますが、受診の前に夫婦で話し合い、子供を作る意志を確認しておくことが大切です。不妊治療は男女二人の協力があってはじめてなりたちます。二人の人生設計を踏まえた上でどのような方法で進めていくのが良いのか事前に話し合っておくことをおすすめします。

夫婦がともに妊娠を望んでいる場合は不妊治療を受けることになります。病院で基本的な検査を受けて、その結果をもとに一般不妊治療を受けることになります。

一般不妊治療とは、従来から行われている不妊治療で、主にタイミング法、排卵誘発法、人工授精(AIH)のことを指します。

一般不妊治療は、1回(1ヶ月)での妊娠率はあまり高い治療法ではないので、ある程度の回数を重ねて行くことが大事です。

一般不妊治療での妊娠率は、それを行う病院やクリニックによって、その成功率にはバラツキが大きく、はっきりとしたデータはありませんが、あるデータでは1年以内なら

30%程度、2年以内なら40~50%の確率とされています。

この数値を見ると、一般不妊治療で妊娠に至る可能性は半分以下ということになります。結婚して5年、2年間一般不妊治療を受けても妊娠できなかった場合、「難治性不妊」と呼ばれ、このまま一般不妊治療を受けても妊娠するケースはわずかであるため、引き続き妊娠を希望する場合、高度生殖医療(ART)へとステップアップしていきます。

◉一般不妊治療でなぜ妊娠できないのか

不妊は単一の原因ではなく、様々な原因が複合的に絡み合っていることがほとんどです。それぞれの不妊原因を探ることは難しく、また不妊の原因によっては、治療者が関与することが難しい原因もあります。そしてなにより、一般不妊治療の難しい点は、偶然性が関与するところにあります。その偶然性を取り除いた方法が、高度生殖医療(補助生殖医療、ARTともよばれます。)ということになります。

​◉一般不妊治療で妊娠できなかった場合は

一般不妊治療で妊娠できなかった場合は、高度生殖医療(ART)へステップアップします。高度生殖医療には、体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)、卵管内移植(GIFT,ZIFT)などがあり、どの方法で行うかは、精密検査で不妊の原因がどこにあるのか、ある程度わかってから適切な方法を選択していきます。

不妊治療と東洋医学

 

東洋医学的な不妊治療の前に、すでに生じている問題、例えば卵巣、子宫に問題がある場合はまずそちらの治療が優先します。特に卵管因子による不妊は女性側の原因の中でもっと多いといわれ、感染症による炎症や、癒着による卵管の通過障害、ピックアップ障害、卵管留水症など、明らかな原因がわかっていて不妊となっている場合は、きちんとした治療が必要です。

その後治療をしたにも関わらず、また、検査をしても特に異常値が見られない場合は東洋医学でサポートすることが可能です。

西洋医学におけるART(生殖補助医療)の進歩はめざましく、以前は不可能と思われていたケースでも妊娠できるようになりました。しかしそのような時代にあっても妊娠に至らないケースが少なくありません。

西洋医学と同様に、東洋医学での不妊症に対する治療や研究も進歩しています。西洋医学とは違った視点原因を捉え、問題解決の手段を身につけてきました。

東洋医学は、ホルモンバランスの崩れなど西洋医学的に不妊の原因とされる疾患は、体のバランスの乱れであると捉えます。

 

乱れた体のバランスを整えることで、人間が本来持っている体の統制機構が正常に働くようになり、また一度正常に働くようになるとそれを維持する働きも正常になるため、バランスの崩れない体となります。

 

東洋医学的に体のバランスを整えることで、結果として不妊の原因となっていた様々な問題が解決し、妊娠の可能性を高めることができるわけです。

 

バランスのよいホルモン分泌、質の良い卵子、やわらかく厚みのある子宮内膜をつくるための環境づくりを東洋医学的なアプローチでサポートすることで、西洋医学的な治療の効果を上げることもできます。

 

 

東洋医学での治療はそれぞれの体のバランスに合わせて、一人ひとり異なるので、「不妊症にはこの漢方処方・この経穴」というような治療ではありませんが、原因を大きく捉えると、幾つかの傾向に分けられます。

 

◉ 血瘀

◉ 痰湿

◉ 肝気鬱滞

◉ 腎虚

◉ 気血両虚

◉ 衝任虚寒

 

血瘀

気の流れが滞ったり、邪の影響、手術や外傷により血の流れが悪くなり、瘀血を生じた状態です。

下腹部の痛みが強かったり、経血に塊が混じっていたり、顏色や舌の色が紫がかったようにみえるなどの症状がある場合に該当します。

 

痰湿

甘いもの、油ものの過食やアルコールの飲み過ぎ、気の流れの滞り、湿度の高い環境での生活により、水分代謝が悪くなった状態です。

食欲不振やめまい・頭重感、むくみ(特に下半身)、舌の苔が厚くベタベタして白 or 黄色っぽい、胸苦しさを伴うなどの症状がある場合に該当します。

 

肝気鬱滞

長期間のストレス、精神的に落ち込むなどにより、気の流れが悪くなった状態です。

わき腹が張っていたむ、乳房が張って痛む、のどに何かつかえている感じがする、いつもイライラしているなどの症状がある場合に該当します。

 

腎虚

重病や長く病気を患っている、過度な性交による消耗により、体のエネルギーが減少した状態です。

生殖能力の低下、排尿のトラブル、物忘れ、耳鳴り・難聴、骨の異常、脱毛、腰痛・下肢痛、ほてりまたは冷えなどの症状がある場合に該当します。

 

気血両虚

食生活の乱れ、疲労・過労・悩みすぎ、慢性疾患による体力の消耗、慢性的な出血、出産による消耗などにより気や血が共に不足した状態です。気虚と血虚がともに存在する状態で、倦怠感、息切れ、汗をかきやすい、話すことも面倒、顔色が青白く艶がない、動悸、不眠、眩暈などの症状がある場合に該当します。

​衝任虚寒

冷えやすく、寒さに弱い体質、性生活の不節制、若年出産、出産過多などで気虚が生じ、体を温める力が低下した状態です。このことが原因で子宮を温めることができなくなるために不妊につながります。月経の後半や月経が終わったあとに下腹部が冷えて痛む、温めたり押さえると痛みは楽になるが、冷やすと痛みが強くなる、月経が遅れたり、ひどい場合は無月経になったり、経血は希薄で量が少ない、寒がる、いつも下腹部が冷える、下腹部の中が空っぽで落ちていくような感じがする、腰が冷えてだるい、帯下は水っぽくて白く量が多い、小便清長、下痢などが見られる場合に該当します。

これ以外にも東洋医学の視点で考えられる不妊症の原因は様々です。

​また原因もひとつだけとは限らず、複合的なケースも多く、ひとりひとりの体質やその時の状態により治療法は変わります。

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