小児漢方

こんにちは。

漢方とはり灸の「こころ」です。

近年、漢方薬の効果が科学的に立証され始め、様々な領域で使用される機会が増えています。

これは大人だけではなく、子どもに対しても同様です。

「子どもはおとなを小さくしたものではない」と西洋学的に言われますが、漢方医学的にも同様で、子どもは常に成長・発達過程にあり、あらゆる面で変化が早く、大人と同じような使い方はできないため、子ども特有の病態・変化に合わせた漢方薬の使い方が必要です。そのため「小児漢方」と呼ばれて一般の漢方治療とは区別されることがあります。

一方で、子どもは生理的、病理的にも大人と比べ複雑化していないことが多く、生命力、自然治癒力にも旺盛であるため、漢方での治療が早く効果的であることも多くあり、漢方治療に適していると言えますが、「小児漢方」はまだ馴染みが薄く、積極的に利用されている方はまだまだ少ないようです。

「小児漢方」でも本来は体質などを表す「証」を判断して処方を考慮しますが、

風邪の時の嘔吐→五苓散（ごれいさん）

反復性腹痛（反復性臍疝痛）→小建中湯（しょうけんちゅうとう）

夜泣き、憤怒けいれん→抑肝散（よくかんさん）、甘麦大棗湯（かんばくたいそうとう）

鼻アレルギー→麻黄附子細辛湯（まおうぶしさいしんとう）、小青竜湯（しょうせいりゅうとう）

喘息性気管支炎→麻杏甘石湯（まきょうかんせきとう）、五虎湯（ごことう）、小青竜湯（しょうせいりゅうとう）、苓甘姜味辛夏仁湯（りょうかんきょうみしんげにんとう）

反復性扁桃炎・中耳炎→小柴胡湯加桔梗石膏（しょうさいことうかききょうせっこう）、小柴胡湯加桔梗石膏合柴胡清肝湯（しょうさいことうかききょうせっこうごうさいこせいかんとう）

などの症状にはあまり「証」を考慮せずに使用しても、一定の効果があるとされて、利用価値がとても高く、証をみない西洋医学でも利用されることが増えています。

もちろん「証」を考慮しながらであれば、さらに対応できる疾患は広がります。

子どもが病気になり薬を飲んで治っても、また同じような症状を繰り返したり、症状は良くはなるものの、治るまでに時間がかかったりすることがあり、西洋医学的な治療ではなかなか思うように治療がいかないことがあります。

そのような場合に、子どもの体質・体力・周囲の環境を考え、一人ひとりに合わせた処方の調節が可能な漢方治療を併用することで、体質を改善し病気を繰り返すことを減らしたり、早く症状を改善させたりできる場合があります。

漢方は大人向けの治療法ではなく、子どもの体にも優しい治療法です。

西洋医学では子どもに使えない薬があります。そのため対処が難しい領域の病気もあり、治療の選択肢が減ってしまうこともあります。しかし、漢方治療では西洋医学的には対応が難しい場合でもできることがあり、小児科領域で果たす漢方治療の役割は大きいものだと考えています。

子供に漢方というと「飲んでくれるだろうか」「続けられるだろうか」という心配はあると思いますが、五苓散、小建中湯、甘麦大棗湯など、甘くて飲みやすい漢方もあります。

漢方独特の風味がが苦手な場合は、エキス剤（粉薬）であれば、独特の風味を和らげる相性の良い飲み物や食べ物と合わせて服用することもできます。1歳以上であれば、ハチミツを加えることで嫌がることが減る場合もあり、漢方薬を飲むための工夫の仕方は色々あります。

また、煎じ薬ではエキス剤よりも、細かい調整が可能であるためより子ども向きです。

例えば、抗生物質の使用でアトピー性皮膚炎になりやすくなるという報告があります。このような西洋医学の課題に対処するためには漢方治療を上手に利用することで、問題解決のお手伝いをすることができます。

「小児漢方」という言葉は馴染みがない方も多いと思いますが、心と体を整える漢方治療を親子で感じていただきたいたいと思っています。

今日は「小児漢方」についてでした。

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